【初心者必見】マグロの釣り方|ルアーとエサ釣りのコツ

マグロ釣りは、ただ力任せに挑むだけでは決して歯が立たない、知識と技術、そして戦略が求められる奥深い世界です。
この記事では、その「マグロの釣り方」に徹底的に焦点を当て、一般の釣り人が遊漁船で実践できる二大釣法、「ルアーフィッシング」と「エサ釣り」の具体的な手順とコツを、初心者の方にも理解できるよう順を追って解説します。釣果に直結する実践的なノウハウを紹介しますので参考にしてください。
遊漁で狙えるマグロの2大釣法
一般の釣り人が遊漁船でマグロを狙う場合、その釣り方は大きく「ルアーフィッシング」と「エサ釣り」の2種類に分けられます。どちらもマグロを釣るための有効な手段ですが、特徴や魅力が異なります。
ゲーム性が魅力の「ルアーフィッシング」
金属やプラスチック、木などで作られた疑似餌(ルアー)を使ってマグロを誘い出す釣り方です。特に、水面でマグロの群れ(ナブラ)を探し、そこへルアーを投げる「キャスティングゲーム」が現在の主流です。
- メリット: 魚を探し出し、自らの操作で食わせるというゲーム性の高さが最大の魅力です。水面が炸裂するエキサイティングなバイトシーンを目の当たりにできます。
- デメリット: 魚の活性が低いとルアーに反応しにくい場合があります。キャスト精度やルアーアクションなど、ある程度の技術が求められます。
伝統と実績の「エサ釣り」
オキアミや活きたイワシ、サバなどをエサに使う伝統的な釣り方です。コマセ(撒き餌)で魚を寄せて釣る「コマセ釣り」や、潮に乗せてエサを流す「フカセ釣り」などがあります。
- メリット: エサの匂いや味で魚の食性に直接訴えかけるため、ルアーに反応しない状況でもヒットさせられる可能性が高いです。一発大物の実績も豊富です。
- デメリット: 手返しやコマセワークなど、ルアーとは異なる専門的な技術が必要です。エサの準備や管理が必要になります。
【ルアー編】キャスティングゲームの釣り方と手順
ここでは、最も人気のあるルアーキャスティングでの釣り方を、4つのステップに分けて解説します。
ステップ1:タックルとルアーの準備
まず、マグロのパワーに対応できる専用タックルを準備します。キハダマグロ狙いならPEライン6号〜8号、クロマグロなら8号〜12号が基準です。その先に、PEラインの3倍〜4倍の太さのナイロンまたはフロロカーボン製ショックリーダーを2m〜3m結束します。ルアーは、水面直下を泳がせる「ダイビングペンシル」と、水しぶきでアピールする「ポッパー」の2種類を、サイズやカラー違いで複数用意するのが基本です。
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ステップ2:ナブラ(魚の群れ)の探し方
船はマグロの群れであるナブラを探して海上を移動します。ナブラは、海面がザワザワと沸き立ち、鳥(海鳥)が上空で騒いでいるのが目印です。船長だけでなく、釣り人自身も常に周囲360度を見渡し、水平線に変化がないか集中して探します。双眼鏡があると非常に有利です。
ステップ3:キャストとルアーアクションの基本
ナブラを見つけたら、船は風上からゆっくりと近づきます。船長の合図でキャストを開始しますが、ナブラのど真ん中ではなく、進行方向の少し先を狙うのがコツです。
ダイビングペンシルの動かし方
キャスト後、ロッドを大きくあおって(ジャーク)、ルアーを水中にダイブさせます。その後、ラインのたるみを巻き取りながらロッドを元の位置に戻し、ルアーが水面に向かって浮上する時間(ポーズ)を作ります。この「ジャーク&ポーズ」が基本で、ヒットの多くはポーズ中に発生します。
ポッパーの動かし方
ポッパーは、ロッドティップを短く、強く引くことで「ポコン!」という音とスプラッシュ(水しぶき)を発生させます。これを2〜3回繰り返したらポーズを入れるのが基本のアクションです。遠くの魚にアピールするのに有効です。
ステップ4:アタリの取り方とフッキング
水面が爆発するような激しいアタリや、ルアーがひったくられるような明確なアタリが出ます。ここで重要なのは、魚の重みがロッドに完全に乗るまで焦ってアワセを入れないことです。魚が反転し、ラインが張ってから、全体重を乗せるように大きく、強くロッドをあおってフッキング(針掛かりさせること)を決めます。
【エサ釣り編】コマセ・フカセ釣りの釣り方と手順
相模湾のキハダマグロなどで実績の高いコマセ釣りを中心に、エサ釣りの手順を解説します。
ステップ1:タックルと仕掛けの準備
パワーのある船竿に、PEライン10号以上を巻いた大型電動リールまたは手巻きリールをセットします。仕掛けは、道糸の先にコマセを入れるカゴとオモリ、その先にフロロカーボン20号〜30号のハリスを3m〜6m結束し、マグロ用の太軸な針を結びます。付けエサは、指示されたオキアミの中から形の良いものを選んで針に付けます。
ステップ2:コマセの撒き方と仕掛けの投入
船長の合図で仕掛けを投入します。この時、付けエサがハリから外れないように優しく投入するのがポイントです。仕掛けが絡まないように、カゴ、ハリス、付けエサの順に投入します。
ステップ3:指示ダナの攻略とアタリの待ち方
船長から「タナ(狙う水深)は〇〇mから△△m」といった指示が出ます。まず、指示ダナより5m〜10m深く仕掛けを沈め、そこから竿を大きくあおってコマセを撒きながら、指示ダナまで巻き上げてきます。付けエサがコマセの煙幕の中に同調するイメージを持つことが重要です。指示ダナに到達したら、アタリを待ちます。
ステップ4:アワセと初期対応
アタリは、竿先が一気に海面に突き刺さるような強烈なものです。リールのドラグが滑り出し、ラインが引き出されます。ここでも焦りは禁物です。魚の引きが少し弱まったタイミングで、ロッドを立ててしっかりとアワセを入れます。電動リールの場合は、巻き上げスイッチを入れてファイトを開始します。
釣果を大きく左右するヒット後のファイト術
どちらの釣り方でも、ヒットさせてからのファイト(魚とのやり取り)が釣果を分ける最大の山場です。
ドラグ設定の重要性
ドラグとは、リールからラインが引き出される際の抵抗力のことです。マグロ釣りでは、ヒット直後の猛烈な走りでラインブレイク(糸切れ)しないよう、あらかじめ適切な強さに設定しておくことが極めて重要です。船長に事前に確認してもらうのが最も確実です。ファイト中にむやみにドラグを締め込むのは避けましょう。
ポンピングの基本動作
魚の走りが止まったら、反撃開始です。「ポンピング」と呼ばれる動作で魚を寄せます。
- ロッドをゆっくりと立て、体重を乗せて魚を浮かせる。
- ロッドを下げながら、浮かせた分のラインを素早く巻き取る。
この繰り返しです。腕力だけで戦うとすぐに体力が尽きてしまうため、体全体の力を使うことを意識します。
漁師の「一本釣り」と遊漁の違い
よくメディアで見る「大間のマグロ一本釣り」と、我々が行う遊漁(レジャーとしての釣り)は、似ているようで目的も技術も異なります。
- 目的の違い: 漁師にとっての一本釣りは生活の糧を得るための「漁」です。効率よく、かつ魚の商品価値を最大限に保ったまま漁獲することが目的です。一方、遊漁はあくまで「レジャー」であり、魚とのファイトを楽しむことや、自己記録の更新などが主な目的となります。
- 技術と道具の違い: 漁師は、ヒットさせてから数分でマグロを船べりまで寄せる驚異的な技術と、それに特化した道具(通称「ダルマ」と呼ばれる手巻きウィンチなど)を使用します。一方、遊漁ではロッドとリールを使い、魚との駆け引きを楽しみながら、時間をかけてファイトするのが一般的です。
マグロの釣り方に関するFAQ
Q1. 初心者でもマグロは釣れますか?
A1. はい、釣れる可能性は十分にあります。特にキハダマグロは、初心者向けのレクチャーやレンタルタックルが充実した船宿が多く、船長のサポートを受けながら挑戦できます。まずはこの記事で解説した釣り方の基本を理解し、挑戦してみることをお勧めします。
Q2. 一般人がマグロ釣りを始めるにはどうすればいいですか?
A2. まずは、マグロを専門に狙う「遊漁船(釣り船)」を予約することから始めます。インターネットで「相模湾 キハダマグロ 船」のように地域と魚種で検索し、初心者歓迎の船宿を探しましょう。最初はレンタルタックルを利用するのが手軽です。
Q3. マグロ漁師の一本釣りはどのようなものですか?
A3. 漁師の一本釣りは、遊漁のようにロッドとリールで長時間ファイトするのではなく、極めて太い釣り糸と針を使い、ヒット後は電動や手動のウィンチ(巻上機)を駆使して、短時間で魚を船上へ引きずり上げる漁法です。効率と魚の商品価値を最優先した、プロの技術です。
Q4. マグロをルアーで釣る場合、最強のルアーは何ですか?
A4. 「最強」と言える特定のルアーは存在しません。マグロが捕食しているベイト(エサ)の種類やサイズ、海の状況によって有効なルアーは常に変わるためです。しかし、一般的に実績が高いのは、180mm〜220mm程度のフローティング(浮くタイプ)のダイビングペンシルです。これを基準に、複数の種類を揃えることが重要です。
Q5. マグロ釣りの値段はいくらくらいですか?
A5. 乗合船を利用する場合、キハダマグロで1人あたり18,000円〜30,000円、クロマグロでは25,000円〜45,000円程度が相場となります。これに乗船料や氷代が含まれますが、レンタルタックル代は別途必要になることが多いです。
まとめ
この記事では、「マグロの釣り方」に特化し、人気の「ルアーフィッシング」と伝統の「エサ釣り」の具体的な手順とコツを解説しました。ナブラを探し、ルアーを操作して誘うゲーム性の高いルアー釣り。コマセを撒き、タナを攻略してアタリを待つ戦略的なエサ釣り。どちらも奥深く、マグロと出会うための有効なメソッドです。
重要なのは、どの釣り方を選択するにせよ、基本に忠実であることです。タックルの準備を怠らず、船長の指示をよく聞き、そしてヒット後は焦らず冷静に対処する。この一連の流れを丁寧に行うことが、夢の一尾への最短距離となります。もちろん、安全のためにライフジャケットの着用は徹底し、クロマグロを狙う際は必ず最新の遊漁規制を確認・遵守してください。この記事を参考に、万全の準備を整え、壮大なマグロとの対話に臨んでいただければ幸いです。